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財産管理手続きの選択〜結局どの手続きをとればいいの?〜

 財産管理契約、任意後見制度、法定後見制度、並びに遺言は、それぞれ目的とするところも効果を発揮する場面も異なるほか、仮に状況的に見て複数の選択肢がある場合でも、制度毎にメリットとデメリットがあります。

 そのため、現時点においてどのような制度の利用が相応しいか等、お悩みの場合には、まず専門家に相談される事をお勧め致します。

 もっとも、これらの制度を、「自らの財産や権利をどのように安定的に確保し、かつ自分の思い描くとおりに活用するか」という観点から考えた場合、個別の制度の検討だけでなく、全てを一連のもとして総合的な活用を考えることが重要になってくると思います。

 すなわち、以下に状況毎の大まかな4区分(※)を設定しましたが、結論として、いずれもの時点であっても、これらの制度の利用を考えるのに早すぎるということはなく、むしろ、少なくとも自分の意思に基づいて行う財産管理契約、任意後見契約、遺言については、いずれも自分が十分な判断能力を有しているうちに(できるだけ早いうちに)、総合的に検討しておくことが大切であるということがお判り頂けるかと思います。

 なお、財産管理契約も任意後見人も遺言執行者も、それぞれ別の人に依頼するということは可能であり、それが適している場合もありえますが、これらを同一の人物又は法人に包括的に依頼しておくことにより、貴方の状況やこれまでの経緯を十分に理解した人が、状況の進展・変化に応じて、それぞれ相応しい処理を進めることができるようになりますので、特別な事情が無い限りは、まとめて相談・依頼することが良いと考えます(財産管理契約と任意後見契約と遺言を併せて「三点セット」などと呼ばれる場合もあるようです)。

(※)財産管理の4区分(詳しくはクリックしてください)
 @判断能力も身体的能力も十分な場合
 A判断能力は十分にあるが、身体的能力が衰えてきた場合
 B判断能力が衰えてきた場合
 C自分の死後