任意後見弁護士ドットコム

任意後見制度とは

 任意後見制度とは、まだ本人が契約の締結に必要な判断能力を有している間に、将来自己の判断能力が不十分になったときのために、将来やってもらいたい後見事務の内容と後見人(任意後見人)を、事前の契約によって、予め自ら定めておくことを基礎とする制度です。

 すなわち、今の時点では十分に元気であり、当然自分で何でも判断できる自信はあるが、将来、事故や病気、認知症などにより、判断力が急に低下してしまうかもしれない、という不安を感じている方が、将来における自分の生活支援(契約関係の代理等)や財産管理などについて、誰にどのような形でお願いしたいかを、予め決めておくというものです(ここでのポイントは、本当に後見が必要な状況になってしまった段階というのは、すなわち「自分の意思」を他者に正確に伝えるのが既に困難な状況になっているということです)。

 これにより、急な事故や病気等で判断能力が低下してしまった場合でも、自らが希望している人物を任意後見人にすることが可能となります(法定後見制度では、後見人等は最終的に家庭裁判所が選任しますので、必ずしも自らの希望する、あるいは希望していた人物が選ばれるわけではありません)。

 もっとも、内容を契約で自由に定められるとはいっても、一身専属的な権利(たとえば、結婚、離婚、養子縁組など)については任意後見契約に盛り込むことはできません。また、法定後見の場合とは異なり、被後見人が勝手に行ってしまった法律行為について、任意後見人が第三者に対して「取消権」を行使して解決することができないという制度上の弱点もありますので注意が必要です。