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成年後見制度の概要

 私達が生活していくうえでは、実は、思っている以上に「契約」と関っていく必要があります。普段意識はしないかもしれませんが、近所で買い物をしたり、食事をしたりするのも、わざわざ契約書を作ったり印鑑を押したりはしませんが、これも立派な契約ですし、現在社会で生じている殆どの事象は、何らかの「契約」に基づいているといっても過言ではないと思われます。

 ところが、「契約」とは、自己責任のもとに、自分で選択および決定を行う事を大前提としていますので、適切な「契約」をするには、自分の行為が、どのような結果を生じさせるのか、十分に判断できる能力が必要となります。
 そのため、認知症高齢者や知的障害者、精神障害者などの判断能力が不十分な方々は、日常の買い物等はともかく、たとえその必要があったとしても、福祉サービスを選択して利用契約を結んだり、あるいは、不動産や預貯金といった自分の財産を適切に管理をしたりすることが困難な場合が出てきます。また、悪徳商法などにより、自分に不利益な契約を、そうとは知らずに結んでしまうおそれもあります。

 このように、判断能力が不十分な場合、そのことによって本人が不利益を被ってしまう恐れがある、そのような事態を回避できるよう支援するための制度、それが成年後見制度です。

成年後見制度の分類

 成年後見制度は、大きく分けると、「法定」のものと「任意」のものがあり、法定後見制度はさらに後見、保佐、補助の3つに分けることができます。詳しい説明は、別のページで詳しく説明しておりますが、「任意」の手続は本人の判断能力が衰える前から手続を進めることができる一方で、「法定」の手続は実際に判断能力が衰えた後でないと手続を開始できない、という大きな違いがあります。